
自分の声がどこからでているのか、考えてみたことはありますか?多くの方が声についてじっくり向き合ったことはないと思います。なぜならば発声は呼吸と同じくらい自然で、声が出るのが当たり前と考えている方が多いからなのです。
でもその構造は日常見ることができません。のどの構造を図解します。人の声は下記の図のようなしくみで発声されます。
発声のメカニズム
呼吸時には声門である声帯はひらき、発声時には,空気は肺から閉じられた声道(声帯)を通過し、断続的に振動して声の音源となります。声道→口腔→鼻腔に送られ,外部へ声として発声します。
声帯は、口を大きく開けても、みることはできません。医師などが使う喉頭鏡や、内視鏡などを使って確認することができます。声帯は口の中から覗き込んだ時に、下記の図のような形をしていることがわかります。
実際の声帯は成人男性で12ミリから15ミリ、成人女性は8ミリから10ミリと大変小さく、繊細な器官です。声の高さは、声帯の振動数で決まります。Hz(ヘルツ)とは1秒間あたりの振動回数を表す周波数の単位です。人は周波数の大きい音を高い音、小さい音を低い音として感じています。女性の声の様に高い音程は振動数が増加します。声帯を薄くかつ緊張させると、振動数は増加し、声帯は高音になればなるほど引き延ばされます。ゴムをピンと張るとピンという高い音が出るのと同じです。成人男性は60Hz~500Hz、成人女性は120Hz~800Hzが発声可能範囲、平均的な話声位は成人男性で120Hz、女性で240Hzです。
音声を発声する元となる人間の声帯はいくつかの層によって構成されています。上皮は軟らかく液状の組織を含み、水分を満たしている状態になっています。またゴムのように十分に伸び縮みできるタンパク構造で、コラーゲン繊維も存在しています。さらに、靭帯、筋肉で構成されている複雑な器官です。冬や春先空気が乾燥してくると、声が出ずらなくなったり、イガイガしてくるのは、声帯に十分な水分が含まれていないことが考えられます。声帯が乾燥すると、振動する際の摩擦が大きくなり、時には出血したり、声帯ポリープ、結節の原因にもなりかねません。また加齢によるコラーゲンの減少は声帯のしなやかさにも影響が大きいと考えられます。
動物たちにも声帯はありますが、人間ほど精巧にはできていません。犬の声帯と人を比較すると、犬の声帯は2-3ミリと厚い粘膜で、靭帯がはっきりしていません。人は高音を維持するために、比較的ゆるみがあり、複雑です。犬はほえるような突然の発声には適していますが、持続発声には適していません。この持続発声には弦楽器の弦に似た声帯靭帯が貢献していると考えられています。
このように声帯はたくさんの繊維で複雑に構成されています。しかし、病気や加齢、けがなどで筋繊維が使われなくなると、筋繊維は死滅してしまいます。ですから適度な声帯の運動によって、規則的に筋を延ばすことで十分な血流や筋繊維の濃度を維持できます。従って、よい声を出すためには、声帯周囲の筋トレ=発声トレーニングがとても大切になります。出したい声、音声を発声する、カラオケもお友達と楽しみたいなど、質の高い生活を送るめには、ボイストレーニングが有効であると考えられます。



